2008年05月09日

「介護福祉士、養成大8割定員割れ」と言いますけど

読売新聞5月7日のニュース「介護福祉士、養成大8割定員割れ…低賃金などで敬遠」がいくつかのサイトやブログで話題にされていた。
介護福祉士を養成する全国の4年制・短期大学で、養成課程入学者の定員割れが相次いでいることが、読売新聞の全国調査でわかった。回答のあった大学の8割で今春入学者が定員割れとなり、ほぼ半数で定員充足率が50%を下回っていた。

で、おおむねどのブログも、読売新聞と同じように「介護保険を支える人材の不足が深刻化」を憂えている。

でも、これは憂いポイントがちょっと違うんでないの?

介護福祉士になるには、次のように国家試験ルートと養成施設ルート(養成大学含む)という二つの方法がある。

kaigo1.jpg

図を見ても明らかなように、平成18年の介護士登録者の4分の3は、国家試験ルートである。国家試験ルートのうち、福祉系高校卒業者が占める率は6%程度なので、そのほとんどは実務経験組だ。

さらにいえば、ここ10年ぐらいの推移を見ても、介護士増加のほとんどは、国家試験ルート組なのだ。

kaigo2.jpg

ま、要するに、介護職の志望者は、養成施設や養成大学に大して魅力を感じていないのは、いまに始まったことじゃないのである。そりゃそうだ。高い学費を払って介護士になるくらいなら、低賃金でも働きながら、介護士資格を取得したほうがいいもの。そして介護士登録者数は一貫して増加している。

それなのに、大学側ときたら、
各大学は定員割れの理由について、「社会的地位が低い」「コムスン問題で業界イメージが悪化した」とし、奨学金を受けた学生が「介護職の賃金では返還できない」という理由で一般企業に就職した大学もあった。日本福祉大(愛知県)の担当者は「高校の進路指導の選択肢から介護福祉士が除かれつつある」と嘆く。


などと、業界の地位やイメージのせいにする始末。

そうじゃないでしょうが。

介護士の養成大学が軒並み定員割れしてるのは、どう考えたって、食い扶持稼ぎのために介護士養成の学部やら学科をぼこぼこと作った大学側の無見識のせいでしょ。

介護職の「低賃金・重労働」は事実だとしても、そのことを定員割れのせいにする大学というのは、自分の無策を反省する視点を徹底して欠いており、絶望的にアタマが悪いのか、あえてそこには触れないようにしているかのどちらかだ。

だいたい、大学が介護士を養成することさえ、どうかと思う。大学が養成しなきゃいけないのは、「低賃金・重労働」で人材流出してしまう福祉業界・福祉制度自体を改革するような人材だと思うのだけど。

というわけで、定員割れしている大学に同情する必要はまったくない、と思うサイトーでした。

※上に貼り付けた図は、総務省平成19年8月6日発表の報道資料「介護福祉士国家試験の受験機会の拡大(概要)」より。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/070806_1.pdf

posted by saitoshokai at 22:50| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
過去記事にレスします。

まさにおっしゃるとおり。

「実学だ」といって専門職養成に乗り出したのが間違いのもと。
まともな大学はアカデミックと専門職教育を分離しています。決
して実学をカリキュラムに入れようとはしない。せいぜいインター
ンシップ位で(これもどうかとおもいますが)。

厚生労働省の厳しいカリキュラム(シラバスへの強引な介入)
を受け入れている時点で、大学は自殺していると思います。

Posted by れすれす at 2009年05月04日 10:08
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